2010年6月27日日曜日

出:大ハマリの予感


フィル・ゴードンのポーカー攻略法 入門編
フィル・ゴードンのポーカー攻略法 入門編』(フィル・ゴードン、百方恵二・監修、佐藤有香・訳、パンローリング)

うかつだった。
まったくうかつだった。
ポーカーをノーチェックだったとは。

ポーカーがトレードに最も近いゲームである、アメリカの有名トレーダーの多くがポーカーの達人である、というような話は、モノの本で読んではいた。
しかし、「ふーん」という感じで、特に気に留めていなかった。
けれどもパンローリングは気に留めた。そしてこの本が出た。

この本で扱われているテキサス・ホールデムというゲームは、カードゲームという感じはまったくしない。自分でカードを出したり取り替えたり、ということはない。
プレーヤーの取れるアクションは、ベット、つまり金を賭けることだけ。要するに投資ゲームだ。

そうすると、戦略と同時に心理面が非常に重要になってくる。
トレーダーとしても、ポーカーを学ぶことによって何らかの相乗効果が得られることは間違いない。

のみならず、このホールデムというゲームは非常に面白い。まだコンピューター相手にしかやったことはないが、それでもかなり熱中できる。
トレードにハマった人なら、絶対にハマることを保証する。

ルールは1分で覚えられるが、極めるには一生かかる、
とか言われているらしいが、
これこそ面白い、人気の出るゲームの条件だ。
一見単純だが、奥が深い。

ただし、これが日本で流行るかどうかは微妙だ。
賭博がどうしたとかいう野暮なことは言いっこなししにしても、ゲーム性があまりにアメリカ的である点は、普及が難しい部分かも知れない。
この本にもしょっちゅう出てくる、一切手加減せず、ぶんどれるヤツから徹底的にぶんどるという発想、 友愛精神に満ちた方々には顔をしかめられる恐れがある。
もちろんオレは、顔をしかめるほうの人間ではない。

それにしても、いったいいくつのことを考えに入れなければならないのか。
自分の手のことはもちろん、相手がどんな手なのかということを推測しなければならない。
見えているカードは非常に少ないので、相手の賭け方のクセ、プレースタイル、実力などを把握する必要がある。そして相手が自分をどう見ているのかも。オンラインではなく、実際に生身の人間同士が対戦するライブ・ポーカーでは、ちょっとした仕草に現れるクセも見逃してはならない。
そして、あるクセがあると思わせておいて、あるとき突然それと逆のことをやって罠にはめる、などということも行われている。恐るべき世界。プロにかかれば、素人などあっという間に丸裸だ。

この本に書いてある戦術は実に具体的だ。
こういう状況ではどのくらいベットし、どこに儲け口を求め、どうやって相手にプレッシャーをかけるか、ということが、詳細に述べられている。
自分よりも強い相手と戦うときはどうしているか、という記述もあり、著者の謙虚さに好感が持てる。
身につけるには時間がかかるだろうが、じっくり読み込めば、必ず実力が向上しそうだ。

それにしても。
パンローリングはオレに何という世界を教えてくれたのだろう。
麻雀やトレードにはじめて触れ、指南書を読み始めた頃がよみがえる。
これは、麻雀という対人ゲーム、トレードという投資ゲームの経験者には、たまらない魅力のある世界だ。つまり、オレにとって。
オンラインポーカーなどやり始めたら、廃人になるまでプレーし続けてしまうのではないだろうか。
坂本タクマがこういうものにハマりやすいということを知った上で、この本を送ってくれたのだろうか。
なんというか、ほんと、どうもありがとう。

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